為替デリバティブ(通貨オプション、クーポンスワップ、長期為替予約など)が、円高で多額の損失を発生させるケースが続出しています。金融庁の調査では、「銀行から勧誘された為替デリバティブ取引で損失を抱えている中小企業が1万9000社、契約の本数が4万件」とのこと。当事務所が相談を受けてきたケースでは、1社当たりが抱える評価損が少なくとも数千万円、多いと億単位、中には20~30億円という企業もありました。
しかしながら、全国的にもこの分野を専門とする弁護士は極めて少なく、被害の救済が十分に行われていない状況です。
1 はじめに
リーマンショック前に金融機関から勧誘されて取引に応じた為替デリバティブ取引を巡る紛争は、昨今の急激な円安の影響で収束を迎えているように見えます。しかしながら、実際には殆どの契約が既に期限の終わりを迎え、契約途中で契約の履行を停止し、いわゆる「期流れ」の状態であった企業は昨今の円安効果の恩恵を享受していますが、円高の激しい時に支払いを停止することなく、借入金で支払っている企業の場合、円安による本業への影響を相俟って、借入金の返済に窮し、遡って為替デリバティブ取引を巡る問題が顕在化するケースが少なからずあります。しかも、金融円滑化法も期限が切れて、金融機関も返済計画や今後の事業計画の見直しを企業に迫るようになってきています。当事務所でも、円安に進んだ現段階で相談を受けるケースが増えてきました。
2 金融ADR申し立ての活用
円安が進んだ現在の状況では、これからの支払に窮して金融ADRの申し立てを行う必要はなくなりました。しかしながら、過去の為替デリバティブ取引の損失(期限到来時の支払、中途解約した際の解約精算金)を当該銀行からの借入金で支払っている場合、ある意味過去の損失負担を借入金に代えているだけで何ら解決になっていません。
例えば、年間で金融機関に支払える金額が1000万円以下なのに、負っている負債は数億円であるというケースもあり、この場合、完済の目処が立ちませんし、年間に金利支払いだけで終わってしまうというケースもあります。為替デリバティブ取引の勧誘経緯などから、相手方金融機関にも応分の負担割合で責任を負わせるべき事情がある場合、金融ADRの申し立てによって負っている借入金の減額ないし免除を目指すべきです。
もちろん、金融ADRの申し立てだけで返済可能な程度に減額できるかはケースバイケースですが、事務所で取り扱ったケースでも、億単位で借入金の減額に成功したケースもあります。為替デリバティブ取引が原因で多額の借入債務を負ってしまい、今後も返済の目処が立たない場合は、まず金融ADRの申し立てを検討すべきです。
3 銀行との交渉、債権カット等の交渉
銀行との借入金の支払いに関する交渉は法的な交渉になりますので、弁護士でなければできません(弁護士法72条)。債権カットについては、第三者が関与する手続きを通じて行うのが一般的です。また、実質的な債権カットの方法としては、債権譲渡及び買い取り先との減額交渉、第二会社の設立があります。いずれも金融機関を出し抜いて行うのではなく、交渉しながら進めて行く必要があります。
4 私的整理、法的整理の検討
最終的に会社を整理するしか方法がない場合は、私的整理、法的整理を検討します。整理の方法は当該会社に応じたオーダーメイド型でスキームを構築すべきです。また相談→スキーム構築→着手→出口まで2~3年かかることも珍しくありません。何の準備もしないで拙速に法的整理を行うべきではありません。
為替デリバティブの被害回復は、実績豊富な弁護士にご相談ください
為替デリバティブ(通貨オプション、クーポンスワップ、長期為替予約など)が、円高で多額の損失を発生させるケースが続出しています。
金融庁の調査によれば、「銀行から勧誘された為替デリバティブ取引で損失を抱えている中小企業が1万9000社、契約の本数が4万件」とのこと。私が相談を受けてきたケースでは、1社当たりが抱える評価損が少なくとも数千万円、多いと億単位、中には20~30億円という企業もありました。
しかしながら、全国的にもこの分野を専門とする弁護士は極めて少なく、被害の救済が十分に行われていない状況です。
当事務所では、2010年末頃から現在までに既に200件以上の被害相談に応じており、被害救済に当たっております。
為替デリバティブで損失が発生している企業の経営者の中には、「契約してしまっているから仕方がない」と半ば諦められている方もおられますが、決して、諦めないで下さい。
当事務所が手がけたケースでは、多数の減額免除が得られています。(解決事例はこちら)
現時点で、最も有効かつ簡易迅速な解決方法が金融ADRであると言って良いと思います。
しかし、銀行が非協力的な態度を取り続ける場合は、最終的には、民事訴訟で解決することになります。
本サイトでは、被害救済の方法を当事務所の経験から、できるだけ詳細に記載しておりますので、ご参考にして下さい。
また、個別のケースについては、最悪の事態に陥る前に、できるだけ早い段階で、専門の弁護士にご相談ください。
融資者の注意義務違反を認めさせた判決を獲得しました(平成30年3月19日 秋田地裁判決)
ご相談から解決までの流れ
(1) お問合せ
まずはお気軽にご連絡ください。
親切丁寧に対応させていただきます。
相談受付の際には、現在の取引の状況(業者名、取引内容等)をお尋ねさせて頂きます。
お電話番号はこちら→03-3556-7441
また、メールの場合は、お問い合わせページからご連絡下さい。こちらより一両日中に、必ずメールのご返信をさせていただきます。
弁護士在所時には直接弁護士が、不在時にはスタッフのものがご相談内容を伺います。
(スタッフ応対時もご相談内容を必ず弁護士に申し伝え、その後のご応対は必ず弁護士が行います。)
お電話の時点で問題となっているポイントをつかみ、その後問題を解決するにあたり何が必要か、何を用意してほしいかなどといったことをお話させていただきます。
(2)来所による法律相談
弁護士との初回相談では、取引の状況を詳しくお聞かせ頂いた上で、問題解決のために最適な方法をご提案させていただきます。
金融取引に関する被害は、状況が複雑であることが多いため、相談時間は1~2時間程度かかります。
※当事務所では金融取引の被害救済に注力しており、現在、無料相談(初回1時間まで・通常30分5,250円)
を実施しております。
ご面談時には当事務所においでいただくか、もしくはお客様のご要望によっては出張いたしますが、出張によるご面談の際は旅費及び日当が別途必要になります。詳しくはお電話・メールの際にご確認下さい。
(3) 調査・分析
取引内容に違法性が高く、被害回復の可能性が見込まれる場合は、正式に受任し、調査に入ります。
具体的には、業者側から委託勘定元帳を取り寄せ、勘定元帳により取引内容を分析した上で解決方針を立てます。
当事務所では、「言った、言わない」の世界で主張を組み立てるのではなく、相手方業者が客観的に否認できない取引経過に基づいて主張を組み立てます。
そのためにも取引内容の客観的な調査を徹底して行った上で、その後の手続の方針を決定します。
また最近の超低金利時代の背景下、デリバティブ取引を組み込んで商品を組成し、より高い利回りを実現しようとした商品が多数出回っています。
この場合、例えば「債券」という名称が付いていても、実態は「オプションの売り取引」であるといったケースも存在し、商品内容の専門的な分析が必須不可欠です。当事務所では、これまで培った知識、経験、金融工学に関する専門書、学者等の外部の方の協力等に基づいて、徹底した商品内容の分析を行い、これに基づいて主張を組み立てています。
(4) 手仕舞い
場合によっては、調査段階で、取引を終了させます。
業者によってはなかなか手仕舞いに応じようとしないので、手仕舞いの指示を会話録音するか、または弁護士に委任して手仕舞いを内容証明郵便で通知します。残金がある場合は、全額送金してもらいます。
(5) 証拠保全
業者によっては、顧客が作成した書類の任意での提出を拒んだり、顧客との会話録音テープや電話発信記録を保管している場合があります。
そのような証拠書類などの中に顧客側に有利な材料が含まれている場合(例えば、本来顧客の署名押印が必要な書類を営業マンが代筆している、会話録音テープの中に営業マンが断定的判断の提供をした会話が含まれているなど)、証拠保全を利用する価値があります。
(6) 弁護士による交渉
業者に損害賠償請求をする内容証明郵便を、弁護士名で出します。
その上で、弁護士が代理人として、業者と交渉します。示談が成立する場合は、示談書を作成します。
(7) 金融ADRを利用する
銀行には、法律上、損失補填の禁止という原則があります。すなわち契約上顧客が支払うべき金額を銀行が負担するには、一定の手続きを経た上で一定の理由がない限り、認められないといったものです。そのため、銀行が示談交渉で為替デリバティブ取引の支払い金額の減免に応じることはありえません。よって、為替デリバティブ取引の支払い金額の減免を求めるには、金融ADRを利用する必要があります。
(8) 裁判所に民事訴訟を提訴する
示談が決裂した場合やADRで解決できない場合は、民事訴訟を提起します。
また業者側の対応がひどい場合、刑事告訴及び行政処分の発動を検討することもあります。