過当取引とは、金融商品取引業者が、顧客の信頼を悪用して、手数料稼ぎ等のために、金額・回数において過当な取引を実行することを指します。証券訴訟の先進国である米国では「チャーニング」として違法性が認められることが定着しています。

我が国の判決例でも、最近、この「チャーニング」の考え方に基づいて、証券会社の違法性を認めた判決例が多数出ています。
過当かどうかの判断は、売買の頻度や売買量、顧客の投資目的等を総合的に判断して、決定されます。
判決例によると、①過当性、②口座支配性、③悪意性の3要件を具備した取引が「過当取引」として違法であることが認められています。

特に①過当性の要件は、回転率(顧客の資金が年間に何回転しているか、回転率が高い程、過当性が認められやすい)及び手数料率(委託手数料の投資金額に対する比率、手数料率が高い程、過当性が認められやすい)という客観的なデータで判断できます。

過当取引が認められた判例

(1)手数料率が8~10%、売買回転率が6を超えていること等を理由に、過当取引を認めた
(名古屋高裁平成15・3・12判決)

(2)証券会社担当者が、顧客の口座を実質的に支配して、顧客の信頼を濫用し、顧客の利益の犠牲の下に、手数料収入を得るために、顧客の属性に照らして、過度な頻度、数量の証券取引を勧誘したとして、株の信用取引に関して過当取引を認めた
(東京地裁平成15・6・27判決)

(3)株の信用取引に関して、以前の証券取引とは量的にも質的にも大きく異なっており、顧客の属性に照らして、著しく大規模かつ頻回にすぎた取引であると述べて、過当取引を認定した
(大阪地裁平成16・1・28判決)

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