銀行が系列証券会社を介して銀行の顧客にリスク商品を販売する方法として、銀行が顧客から「情報共有同意書」を徴収することがよく見られます。この「情報共有同意書」とは、銀行が保有している顧客情報(例えば預金の金額や内容など)を系列証券会社が利用することに顧客が同意するという内容の書類です。銀行の顧客は書類の意味内容を深く考えずに署名押印していますが、銀行及び系列証券会社にとっては極めて重要な顧客情報を共有できるので営業上非常に重要です。
個人情報保護法や金融商品取引法によって、銀行の系列証券会社といえども顧客の同意なく、銀行が保有する顧客情報を理由することはできません。しかしながら、顧客が情報共有に同意したことになれば、銀行が保有する顧客情報を系列証券会社が利用して営業することが可能になるのです。例えば、ある顧客が銀行に定期預金5000万円を預けていることになれば、それは直ちに使わない資金が5000万円あることを意味しますから、系列証券会社が顧客に営業行為をかけてリスク商品を販売しやすくなります。
以上によれば、本来は利用できないはずの重要な顧客情報を銀行から系列証券会社に共有させる「情報共有同意書」は重要な書類であるにもかかわらず、一般の方々はそのことをよく知らないで、簡単に署名押印し、銀行に定期預金を預けていたのに、いつのまにか系列証券会社が勧めるリスク商品に代わってしまっていることがありますので、ご注意下さい。
なお、この銀行の「情報共有同意書」は体裁上極めて簡単な書類で、銀行窓口にて色々な書類の中の一つとして作成されることもあり、本人は「情報共有同意書」に署名押印したつもりがなくても「情報共有同意書」に署名押印していたこともありますので、ご注意下さい。